2013年 04月 05日
シーツ系 |
おばけと言うと、あるときには、
シーツをあたまからかぶったようなのを想像する。
「さあ今からおばけに扮してください。10秒で」
と言われたら、まあまず、シーツをかぶる。
やぶいてよけりゃ、カーテンをやぶいて使ってもいい。
ゆらゆら。
ゆうれい。
ゆうれい、や、おばけ。を、表すシーツや、カーテンのひらひら、ゆらゆら。
あれは、おばけやゆうれいの質感の“曖昧さ”を表した“記号”だ。
もし実際におばけを見たならば、
彼らの体の表面に、布のような質感はきっとない(はず)。
僕らはおばけのからだの手触りやかたちにはっきりとした共通認識を持たないから、
いっそその曖昧さ自体を表して、シーツやカーテンをかぶるんだろう。
かぶったことないけどね、でもきっと世界で最初にシーツをかぶっておばけに扮した、おそらく外国の誰かは、
シーツの、カーテンの、ゆらゆらや掴みどころのなさに、おばけの記号をもとめたんだろう。
僕らはシーツのおばけ以上に納得のいくおばけらしさを、共通のものとして持っていないから、
いつまでも、それら人工のおばけたちは、ばかみたいにシーツをかぶり続けるんだろう。
像の曖昧さの象徴としての、記号的な「シーツ系おばけ」よりも、
もっと納得のいく、これこそおばけなり!というようなおばけ像を、誰か見つけてくれないかなと思う。
“おばけ”がシーツをかぶらなくなったとき、
それはどんな姿なんだろう。
それってすごくこわいんだろうな。
by amadatasuku
| 2013-04-05 04:44