2010年 03月 29日
わりかし小さな声で |
ときどき帰り道を遠回りにして食べにいく、ある洋食屋さんがあって。
お店は小さくて狭いのですが、いつも繁盛しています。カウンターキッチンに立つ主人のおっさんは、満腹になったお客さんを見送るとき、他の店員さんの「ありがとうございましたー」に混じって、わりかし小さな声で「どうもすいませんどうも」と言います。(けれど彼のつくるごはんはとてもおいしいです。) 僕らには、毎度まいど何がすまないのかよくわからないのですが、かといってあえて何故すまながるのかをおっさんに尋ねるお客さんもいないようです。でも僕らはおいしいごはんを出すおっさんが何故そんなにすまながるのかを考えると、おっさんの気持ちのありようがちょっと心配です。もっと胸をはっていればいいのにね。
ところがある日(というのは今日のこと)、僕らはある違和感に気付きます。そのお店では、いつものように店員さんたちの「ありがとうございましたー」に混じって、主人のおっさんのわりかし小さな声の台詞が「ありがとございやしたっ」に変わっているのです。おっさんに何があったのか。おっさんの身に、あるいは心に、どんな変化があったのか。無理をしているのじゃないのか。無理をしていないのだとしたら、そんなうかれていて逆に大丈夫なのか。なんなのか。どうなのか。
これはこれで心配です。
心配な洋食屋のおっさんのはなしでした。
by amadatasuku
| 2010-03-29 23:59