2010年 02月 21日
缶で片手がふさがっているのは |
ががごん。
おっとこれはいつかの夏休みだな。
記憶の中の僕は自動販売機でコーラを買っています。なぜなら飲みたいから。
飲みたいのはほんとなんだけど、まるまる一本は、いつも飲みきれない。
炭酸でおなかがいっぱいになってしまうし、げっぷがでてもうやんなっちゃうし。
なにより夏休みの時間の中で、缶で片手がふさがっているのはとてももったいないことだ。いつどこで面白いことが持ち上がるか分からない。とっさにポッケをまさぐるのにも、自転車をこぐのにも、エアガンを持ち替えるのにもリュックを開けるのにも、片手のコーラは絶対に不利。友達が突然走り出したら出遅れる。波打つコーラの水面を気にして走ったあげく、どうせこぼれてべとべとになる。
そんなわけで飲みきれなかったコーラはどぶに流してしまいましょう。
ごぼごぼごぼ。缶の中へ空気が、コーラを押し分けるようにして入っていきます。その振動をもったいない気持ちで感じ取ります。もうおそいけどね。
大人になっていまちょうど冬を過ごしている僕は乾燥にめっぽう弱く、めぐすりをさしながらそんな情景を思い浮かべていました。
めぐすりは容器の先で、雫にちぎれて落ちてきます。
雫ひとつぶんのめぐすりと引き換えに吸いあげられる、雫ひとつぶんの空気が、容器の中でこぽ、と音をたてるのをなんとか聞けないものかと、目をとじて耳をすませました。今思うとまあ当然なんだけど、めぐすりはまぶたの上に落ちてきました。
by amadatasuku
| 2010-02-21 23:59