
夜すずしくなるのを待って、さんぽに出ます。(散歩、は、ひらがなで書くのがいい。)
いつもの道が、いくつか曲がれば、しだいにいつもじゃなくなります。
ちかくのはずなのに、知らない角、知らない景色。塀の向こうから、飛び出すようにこちらに向かって、知ってる花。名前は知らないけども。
すこし引いてみると、ねこ。ねこ。
花をへだてて両側に、おんなじ柄のねこが、それぞれ離れて座っていました。角の塀の上に、はなればなれに、花をはさんで。
花をはさんで、線対称になってることに、このねこたち、兄弟かなあ、きっと気付いてない。
それをずーっと眺めています。
ねこもこっちを見ています。
ねこは「おまえだれだ」とそれぞれ思っているのかな。
僕は「おまえたち線対称だぞ」と思っています。
「そのことにおまえたち、気付いているのか?」と、思っています。

ぱたぱたとこう、うちわであおいでいると、
風がくるぶん涼しいのだけど、うちわを動かす運動量のおかげでそのぶん暑くもなってプラマイゼロなんじゃないかと怪しむ気持ちになりますね。
だとしたらむだだ。いままでのうちわ全部。ぱたぱたあおいだ作業ぜんぶ。むだだ。むだかなあ。んー?どうだろう。
そんなふうなことを考えながらぼおーっとしていると、気付いたらなんでもない中空をじいーっと見つめていたりして、そういう「ぼおー」につつまれていると、まだ鳴いてもいない蝉の声が聴こえてくるようです。
蝉の声の記憶には、ぼおーっとした視界が含まれている。きっと今まで蝉の声を聴いてたくさんぼおーっとしてきたんだろう。
今年の夏も蝉の声を聴いてぼおーっとするんだろう。暑いを言い訳にごろごろしたり、けどおんなじ言い訳ではしゃいだり、その合間あいまに「カルピス。」とか思うんだろう。
いつもどおり夏がもうすぐ来るみたいですね。
< 前のページ次のページ >






