人工知能の話。

c0089792_02080768.jpg

もはやお茶の間(お茶の間?)でさえ「人工知能はすごい&おそろしいわね」などと語られているのをみると、僕もいよいよ少しずつそわそわしまして、
昔からその手の話は好きだったけどそれはファンタジーという額縁のなかに収められていたからであって、
こうも人工知能がやってくるゾという話が現実の生活と地続きの延長線上に、遠くて近い地平線のあたりに見え隠れしてくると、とたんに真顔になったりしています。

人工知能の台頭というのに対して僕はどちらかというと悲観的というか、
「希望」よりは「恐怖」を、「人間の能力の成長・増強」よりも「人間の社会的価値の低下」を見い出してしまいがちなのですが。

でもね。たとえば、、

ーーーーーーーーーーーーーーーー

<人工知能にはできないこと/人間にしかできないことはあるんじゃないか、という話>

人生はあらゆる選択の連続であるなんていうけれど、
人工知能が僕らの普段の生活に馴染んでくると、人はそれを、
日々の取捨選択に際して、もっとも有効な「判断」をしてくれる機能として使うんでしょう。
ひっ算をして一生懸命計算するより、計算機を使って安心するみたいに。
この状況で自分はどうするべきか、まずは人工知能の判断を聞いてみる、というふうに。

それが外部装置のようになるか、あるいは体内に埋め込むのかわからないけど、
たとえばいまは仮に、イメージしやすいように、iPhoneのような端末があってそこに人工知能さんが、すぽんと入っていますとしましょう。

人はとっても、占いが好きですし、
占いの”強烈なやつ"として人工知能が生活のなかに入ってきたところを想像します。
当たるも八卦当らぬも八卦、占いというのは統計学ですから、と言うように、
いにしえから語り継がれた膨大な統計をもって占いが成立しているのなら、
これはそもそもの成り立ちからして人工知能、ディープラーニングの仕組みに近いと言えるでしょう。
転じて、占いは一番手っ取り早く人工知能に取って代わられるものだとも。

そのうえで、じゃあここに、ひとりの男の子(高校生/野球部/丸坊主/優しくていいやつ)がいて、
しかもなんと恋をしているとしましょう。
練習中もぼーっとして、足元にフライがぽとんと落ちたことにも気付かない始末。
これはたいへんだからまずは思いを打ち明けよう、あのこに、ということになります。

最近は高校生でもひとり一台人工知能端末をもってる時代ですから(そういう設定ですから)、
さっそく人工知能に尋ねてみます。
「ねえ、僕はあの子に告白するべき?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ところは変わって。

彼に好かれている「あのこ」。体育館のうらにいます。
髪の毛さらさらの人気者の、別の男子に呼び出されたから。
さらさら男子に、髪の毛をかきあげかきあげ告白されて、「あのこ」はこまってしまいました。
こまったといっても「うれしい」と同義のやつです。
ぴぴぴぴぴ。あのこ、さっそく片手に持った人工知能端末に相談です。
「わたしはこの人と付き合っても良い?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

あらゆる判断を人工知能に委ねることに慣れてしまった社会では、
人はなにをもって目の前の人を「好き」と思うだろう。

というのが、この話の大事なポイントです。

あらゆる判断を人工知能に委ねることに慣れてしまった社会では、
はじまりかけの恋愛において、お互いの手元には、
人工知能が導き出した「うまくいく確率」が握られていて、そのつぎにすぐ「結果」がくる。
付き合うべきなら付き合う、付き合わないべきなら付き合わない。
そこにはたとえばかけひきだとか、少しずつ仲良くなってみようとか、そういった「工程」はなくなってしまうのでは。
と、簡単には想像してみるのだけど。

でも、ちがうんじゃないか、というのが今回のお話。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あのこ」が持っていた人工知能端末が導き出した答えが
「付き合ってもこの人とはうまくいかない」だったとして。
髪の毛さらさら告白されてうれしく思った「あのこ」は、納得するんだろうか。
むしろ、
人工知能は「違う」と言っているのにそれでもなおこのさらさらヘアーが気になってしまう
この気持ち、これを信じたい!っと思うのでは。

人工知能の「判断」を否定して初めて、自分の「ほんとうの気持ち」と認識する仕組みがそこにうまれています。

おっと忘れていたけど野球部の男の子。彼も。
もし彼の人工知能端末が「おまえに勝ち目はねーから、好きでいるべきではない」と判断しても、
そっかじゃあ忘れよう、とは思わない。それでもひっそりと好きでいるだろうし、なんなら思いだけでも伝えたいと思う子かもしれない。けなげでいいやつ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「人工知能はこう言うけど、でもやっぱ」と、思いうるあたりの領域に、
"人間にしかできないこと"はありそう。

恋をしてぼーっとしていても、自動でフライをキャッチすることなら人工知能で、
なんとかできそうだと思うけど。


by amadatasuku | 2017-04-12 02:09

amadatasuku.com blog


by amadatasuku