2015年 03月 06日
月で初めて死ぬ人/短歌二首と短文 |
いつの日か
月で初めて死ぬ人が
間際に語り出す
恋の記憶
季節にはそのど真ん中で過ごして実感する魅力もあるけど、
でも、移ろってこそ季節、という感じもする。
おなじく、時代も、
そのただなかでは散々僕らを巻き込むけれど、
でも過ぎ去ってこそ初めて、時代って感じがしたりする。
時間は今のところ先へしか進まない。
エントロピーを裏付けるようにして時間は進んで、
移ろって、過ぎ去って、
その残り香みたいなものを拾い続けることが、時間の中で生きる上での宿命なのだと思う。
じゃあ、時間が移ろい過ぎ去り続けるただ中で、その残り香を拾い続ける手や足は。
川の流れのような時間の真ん中で、それにあらがい、不変であり続けるものは。
時代が進むと、人は月にも住むようになるだろうか。
もしそうすると、やがて必ず誰かが月で初めて死ぬ人になる。
その人がどんな人かは想像もつかないけれど、例えば病床で、彼は、彼女は、死にゆく間際にどんな思い出を振り返るだろう。
たぶんきっと、いま地球なんかで暮らす僕とかと、そんなに大差はないんじゃないかなあと思う。
やはり世は
意外と愛だ
コンビニへ
向かう僕には
見えないがきっと
by amadatasuku
| 2015-03-06 05:27