そうだまずはお寿司を食べてからでないと。

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ジェット噴射で人が飛べるような装置をリュックのように背負い、鹿が、
ここから飛ぼうかな、というふうに窓を開けると、
がらり、というサッシの音が耳に残った。

しかし鹿のツノに目をやると、そのツノの枝分かれしたあたりに、
うまい具合に乗ったにぎり寿司が見える。

左のツノのすきまにはマグロの赤身。
右のツノには、あぶ、り。たぶん炙りサーモン。

僕がそれに気付くと鹿は、
そうだまずはお寿司を食べてからでないと。というふうに窓を閉める。

がらり。

そうだよ寿司。寿司あるよ。
僕は思う。

いっぽう、鹿は醤油皿を探す。
部屋に差し込む陽だまりから出て、かげに入る。
戸棚。
戸棚の前に来てから、一度窓の外を見やって、またがさがさ醤油皿を探す。

そのあいだ、
寿司はツノから、落ちてしまわない。


 
by amadatasuku | 2013-09-23 03:47

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