2009年 12月 02日
まばたきと落ち葉 |
昼。演奏中のピアノの上には、ウィスキーグラスでも灰皿でもなくマグカップが置いてあるのがいいなと思った。べつに中身がウィスキーだったとしてもよし。むしろ。
夜。僕はスーパーの袋からネギのあたまを出して歩くのが好き。ネギは味もにおいもきらい。重たくなったスーパーの袋を振り子にして、ぶんぶん歩くうちに振り子と歩調が合わなくなってうまく歩けなくなるのも好き。重い荷物を持って歩くのは大きらい。好きときらいは一緒になってやってくることが時々あって、好きな方だけ見ていたい。
深夜。今夜は月がきれいだという噂をそこかしこで聞いたなと今ごろ思い出して、あわててバタンと外に出てみる。もう雲ばっかしで雨の準備が整いましたというふう。あーあと思ったら月ひとつぶんの雲の穴にきれいに収まって月がみえて、なんかへん。警察官にすれ違いざま、怪しいやつめという目で見られたのでちょっと愉快。振り返ると猫がいた。猫は僕を見ているけれど、頭の中で半分は全然違うことを考えてんじゃないのかな。猫がもし何か隠しごとをしているとしたら、その猫の秘密はどんなものなのか、知りたいと思った。
宙に浮き
澄まして何でもないふうな
猫の夜顔
僕だけが見た
by amadatasuku
| 2009-12-02 23:59